【シーズン2:第1話】ZEBの必要性とBIPV     (S2:BIPVの未来~ZEBのキー~)

更新日:2020年7月3日

今、皆さんはこの動画をどこで見ていますか?


オフィス・自宅などの建物の中でしょうか?


その建物のエネルギーを、省エネ技術とPVによる創エネ技術で収支をゼロにできます。


それがNet Zero Emission Building/House(ZEB/ZEH)です。


今回は、日本のエネルギー消費の全体像、ZEBの必要性、BIPVとはなにかについて解説します。





第1話のポイント


①エネルギー消費@日本

②ZEB(ゼブ)への期待

③ZEBに重要なBIPVって?



ポイント①「エネルギー消費@日本


ZEBの導入として、日本の最終エネルギー消費についてお話ししたいと思います。


2017年度の最終エネルギー消費は、13.4エクサジュールでした。


Eというのがエクサで、10の18乗のことです。


これを、kWhに換算すると、1kWhが3.6メガジュールなので、3.7兆kWhになります。


これを100%として、電力の占める割合、つまり電力化率を考えます。




電力消費が約1兆kWhなので、電力化率は約26%になります。


では、このうちPVが発電する電力はどれぐらいでしょうか?


シーズン1の第1話でお話ししましたPV penetrationは現在で約10%です。


となると、26%のうちの10%なので3%弱ということになります。


つまり、最終エネルギー消費のうち3%弱をPVで賄っていることになります。


この数字をみるとPVはもっと伸びしろがあるのではと思いますよね。


PVはもっと最終エネルギー消費に貢献できると思います。


さらに、電力化率が約26%ですが、これがもっと伸びていけば、PVの伸びしろも大きくなっていくと思います。


次に、電力化率の推移をみてみます。




この図は、電力化率の1965年から2017年の推移です。


ほぼ単調に増加していて、

1965年に13%程度あったものが、

1990年に20%を突破し、

2008年に25%に達し、

それから2017年まで微増といった傾向です。


これを見ると今後も増加していくことが期待できると思います。


次に、世界ではどうなっているのかを、世界の電力化率の推移で見たいと思います。




この図は、世界の各地域の電力化率の1980年と2016年の比較です。


左から右に、2016年の電力化が高くなるように並べています。


増加率は地域によって違いますが、2倍以上伸びている所もあります。


日本は25.7%@2016年なので世界平均よりも電力化率が高いという事がわかります。


つまり、全世界的に、電力化率が大幅に伸びてきたと、いうことがわかると思います。


PVの割合がまだ3%程度であること、この事実に加えて、電力化率が今度も伸びそうであることを考えると、PVはもっと最終エネルギー消費に貢献できると思います。




次に、この最終エネルギー消費の部門ごとの内訳をみていきたいと思います。


この4部門(①産業部門、②運輸部門、③業務他部門、④家庭部門)の最終エネルギー消費が報告されています。


それぞれについて、その割合を見ていきます。




エネルギー消費第1位は、産業部門です。13.4EJのうち、46.2%を占めています。


この部門は、製造業と農林水産鉱業建設業の合計です。


製造業がエネルギー消費のメインです。


例えば、何かの製品を作る工場をイメージしてもらえるとわかりやすいかなと思います。




エネルギー消費第2位運輸部門です。23.2%を占めています。


乗用車やバスなどの旅客部門と陸運・海運・航空貨物などの貨物部門に大別されます。


2017年では、旅客が約6割、貨物が約4割です。


この部門は、電力との相性が良いのではと思います。


EVが今後、どんどん普及してくると思いますので、PVの出番も増えてくるのではと期待できます。


このEVとPVについては、シーズン3以降でまたお話ししたいと思います。




エネルギー消費第3位業務他部門です。15.7%を占めています。


第三次産業のエネルギー消費を示していて、

事務所・ビル、デパート、ホテル・ 旅館、劇場・娯楽場、学校、病院、卸・小売業、飲食店、その他サービス(福祉施設など)の9業種に大別されます。


中でも2017年度では、事務所・ビルがエネルギー消費のシェアの1位を占めています。


まさに、今回のZEBやBIPVに関わる分野です。




そして、エネルギー消費の第四位家庭部門です。14.9%で業務他部門と近い値です。


シーズン1の第2話でお話ししたようにFiTで家庭へのPVの普及が伸びました。家庭とPVはとても相性がいいと思います。


また、今後の新築の住宅はPVを用いてネットゼロエネルギーハウス(ZEH)になるものが増えてくると思うので、この部門内で、PVによる電力比率はもっと増えてくるのではと思います。


さて、今回の主題であります、建物に関係する業務他部門・家庭部門のエネルギー消費の推移についてみてみたいと思います。



ポイント②「ZEB(ゼブ)への期待


ここからがポイント②のゼブへの期待です。


業務他部門と家庭部門のエネルギー消費の推移です。1973年から2017年のデータです。


2005年に山がありますが、全体でみると増加傾向にあります。




業務他部門で2.1倍、家庭部門で2.0倍になっています。


これはかなりの伸びであると思います。


業務他部門のエネルギー消費の最大のシェアは2017年度は、事務所・ビルです。


そして、そのエネルギー消費の電力が占める割合は増加しています。


つまり、PVとの相性がいいので、活躍の余地が大きい所です。



他の部門も気になるので、見てみると、運輸は1.7倍です。


EV化が進むので、ここはPVの活躍の余地が大きい所です。


産業は0.9倍です。


産業の最大のシェアは製造業なのですが、製造業全体の生産は1.7倍、経済規模は2.6倍になっているのに、エネルギー消費は0.9倍になっているということで、

エネルギー効率が良くなっていることを示しています。


さて、日本のエネルギーの消費の全体像がざっくりとわかったところで、

前置きが長くなりましたが、このビル・事務所のエネルギーをPVで賄うという、ZEBの話に入っていきたいと思います。




まず、ZEBってなんでしょうか?定義についてお話しします。


ZEBとはネット・ゼロ・エネルギー・ビルのことです。


建物(ビル)のエネルギー消費を正味で(ネット)でゼロにするというものです。


つまり、人・モノが活動・駆動する限りは、エネルギーが消費されるわけですが、これをゼロにすることはできないので、省エネと創エネで差し引きゼロにするというものです。


この創エネにPVが活躍します。


次にZEBの4段階という定義がありますので、お話しします。




4段階のZEBシリーズです。


ZEB、ニアリーZEB、ZEBレディー、ZEBオリエンティッドがあります。


まず、前にも後にも何もついていないZEBですが、

省エネの基準がありまして、従来の建物で必要なエネルギーというのがあって、それよりも50%以上の省エネ、かつ残りをPVをはじめとする創エネで賄って、エネルギー削減率が100%以上、全部か逆に電力を売るぐらいのイメージですね。


国内でももちろん例はありますが、多くはないです。


次にニアリーZEBですが、ほとんどZEBという意味で、エネルギー削減率が75%以上です。


ZEBレディですが、ZEBの準備が整っているという意味で、省エネの基準の50%以上はクリアしているものです。


ZEBオリエンティッドですが、ZEB志向です。定義が長いので、詳細はZEB Portalをご覧いただければと思います。


次に日本の政府が発表している2020、2030年目標に触れます。




こうありますので、日本の政府としても、当然、業務他部門、家庭部門のエネルギー消費をPVで代表される再エネで賄いたいというZEBへの期待がはっきりと見えています。


さらに、今後登場してくるいわゆる「スマートシティ」では、再エネの導入が必須と思いますので、今後のZEB・BIPVへの期待は大きいと思います。


では、やっとですが、本題のBIPVに話を進めたいと思います。



ポイント③「ZEBに重要なBIPVって?


まずは、BIPVの定義についてです。


BIPV、ビルディングインテグレーテッドPVとは、

建材性能・外皮性能と一体となった創エネ建材のことです。


建材・外皮性能とは、耐火・耐風・防水・防漏水・断熱・日射遮蔽・美的性能などです。


この美的性能については、第二話以降で詳しくお話ししたいと思います。




BAPVのAはAttachedとかAppliedのことです。


これは、建材性能は屋根・外壁に任せて、外部に後付け設置するPVのことです。


住宅の屋根に置く、皆さんがよく目にするPVは、このBAPVに分類されると思います。


BAPVもBIPVに含まれるといった定義もありますが、

今回のお話ではBAPVとBIPVを区別してお話ししたいと思います。


では、次にZEBにはBIPVが必要な単純な理由についてお話しします。




まずは、現時点で可能な、ZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)についてです。


これは屋根置きのPV、つまりBAPVが大多数ですが、これで達成可能です。


なので後付けでもZEHは達成可能ということになります。


出典は、ZEHの定義(改訂版)からですが、詳細は、こちらを見ていただきたいのですが、標準モデル住宅で省エネが効いていれば、PV容量2.4kW、PV面積12.5平米で達成可能とあります。


つまり、屋根置きのBAPVでOKということです。




一方、ZEBの場合ですが、階数によりますがビルが高層化すると、屋根のPVだけでは足りなくなります。


つまり、外壁、ファサードとも言われますが、ここに取り付ける必要があります。


外壁の窓などの開口部、壁などの非開口部に、BAPVとして後付けすることももちろん可能であるとは思いますが、

通常は、メンテナンス性やグレア(反射による眩しさですね)の課題もありますので、ビル設計の早い段階からBIPVとして組み込まれるのが通常だと思います。


このBIPVの現状や課題については、第2話と第3話でお話しします。


今回の最後に、BIPVってどんなのだろうというのをお見せしたいと思います。




この図はIEA-PVPSの報告書の表紙に使われているものです。日本語を書き入れています。




建物のいろんなところに組み込むことができます。


まず、Pitched Roof、日本語では、斜面の屋根になると思います。


この図面では、いわゆる、片流れの屋根です。屋根と一体化しています。



次に天窓です。


この絵は、2枚のガラスで結晶シリコン太陽電池ウエハを挟んだ、いわゆるダブルガラスモジュールのように見えます。


ウエハとウエハの隙間を大きくすることで、光の透過性を上げています。


このあたりのことは、第3話のBIPVの未来(技術編)でお話ししたいと思います。


次に壁面(開口部)です。


これは、窓です。これも天窓と同じようにダブルガラスの結晶Siモジュールだと思います。


バルコニーも、シェードも、同様です。


次に水平な屋根の陸屋根(りくやね)。そして、壁面(非開口部)にも設置が可能です。


こういう感じで、建物のいろんなところに、BIPVで発電機能を持たせることができます。


ただ、ご覧の通り、大きさ、形、部材などが、部位ごとに異なりますので、規格(認証を取る規格ですね)に様々なバリエーションが出ることになります。


これは課題であるといえると思います。


これを第2話では重点的に話したいと思います。


それでは、今回の内容を以下にまとめます。



今回のまとめ



今回の一言は・・・


「PVの普及にはまだまだ伸びしろがある!」

でした。




■YouTube

音声で補足した内容を見たいという方はYouTubeの太陽電池大学をご覧ください。



■コメントについて

この記事は、出演者自身の経験と適宜文献を参照して考察したものです。

ベストを尽くしているつもりですが,もっと新しい情報がある!こんな考え方もある!という方は是非お知らせください。情報・考えを共有したいと思います。



参考資料

■エネルギー白書

■ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)(環境省)

エネルギー基本計画

■ZEHの定義(改定版) <戸建住宅>

■NEDO高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発  動向調査等  

BIPV(建材一体型太陽光発電)に関する検討 平成28年度成果報告書 (太陽光発電技術研究組合)

NEDO成果報告書データベースよりユーザー登録後ダウンロード可能

■Analysis of requirements, specifications and regulation of BIPV, Report IEA-PVPS T15-08: 2019.


画像の出典

サムネ Photo by Richárd Ecsedi on Unsplash

本編背景 Photo by 小谢 on Unsplash


峯元のプロフィール

■研究者情報(research map)

■論文リスト(Google Scholar)

■太陽光発電研究室(立命館大学)

 ↗新型太陽電池の開発、太陽電池の屋外評価などに関する協働はこちら

■APEX/JJAP編集委員(IOP Publishing, 応用物理学会)

■47th IEEE Photovoltaic Specialist Conference Area 2 International Co-Chair

■スカラーズ株式会社(R&Dコンサルティング)

 ↗学者集団によるコンサルティング、受託研究、R&D支援はこちら



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